In-Situ 実験装置
EBSD装置と組合わせ、試料の熱処理や加工処理時のダイナミカルな組織変化の直接観察を観察とするEBSD用 In-Situ実験試料ステージです。
EBSD 用試料加熱ステージ
HSEAシリーズ EBSD用試料加熱ステージは、EBSD観察を行いながら試料を直接加熱することにより試料の再結晶や相変態の過程を直接観察することができる In-Situ 観察用ステージです。EBSD装置との組み合わせにより試料のダイナミカルな変化を観察することが可能です。
1. 特徴
SEMステージに改造を施すことなく、標準の試料ホルダーを取り付ける場合と同様の操作で取り付けることを可能とした、コンパクトなEBSD用試料加熱ステージです。 試料最高加熱温度は1000゚C の1機種を用意しています。1000゚C 加熱時では本ステージ用に開発した専用小型高出力セラミックヒーターを採用し、さらに適切な熱シールドによりEBSD検出器への影響はほとんどありません。EBSD観察時はSEMステージにより試料加熱ステージ全体を70゜に傾斜し、通常のEBSD測定と同様に観察が可能です。 また各社SEMのステージに取り付けられるようSEMアダプター部分はカスタマイズした設計となっています。
2. 基本仕様
試料サイズ | 5 x 7 x 0.4~0.7t |
試料傾斜角 | 70゚ (SEMステージ傾斜 による ) |
温度測定 | 熱電対 (K-type) による (ヒーターおよび試料 の2カ所) (1000゚C タイプは試料にスポット溶接) |
温度制御 | PID 制御 および マニュアル制御 |

HSEA-1000 試料最高加熱温度 1000゚C
3. 基本構成
HSEAシリーズ EBSD用試料加熱ステージには、次に示すように実験に必要なものはすべて構成されています。 (取り付けるSEMをご指定ください)
- EBSD用試料加熱ステージ本体1台
- 試料加熱ステージコントローラー1台
- SEMフィードスルーフランジ1個
- 制御PC / モニター 1セット
- ケーブル類1式
- 保守・補用品1式
- 小型ウォーターチラー1台
- 熱電対用専用スポット溶接機1台
- 試料取り付け用治具1式
4. 応用例
SEM/EBSD法を用いたその場観察法を用いることにより、定量的な結晶学的情報を基に微細組織のダイナミックな変化の観察が可能となりました。HSEA-1000 加熱ステージは専用に開発した小型セラミクスヒーターを採用し、試料温度で最高1000゚C までの加熱が可能になっています。最高使用温度の向上により、鉄鋼材料のα/γ相変態等の観察にも適用可能となっています。
HSEA-1000 を使用した低炭素鋼におけるα/γ相変態の観察例

EBSD 用試料引張ステージ
EBSD用試料引張ステージは、EBSD観察を行いながら試料に一軸引張変形を与えることができる In-Situ 観察用ステージです。EBSD装置との組み合わせにより試料のダイナミカルな変形の様子を観察することが可能です。
1. 特徴
SEMステージに改造を施すことなく、標準の試料ホルダーを取り付ける場合と同様の操作で取り付けることを可能とした、コンパクトなEBSD用試料引張ステージです。最大引張力は1500N と高出力になっています。各社SEMのステージに取り付けられるようSEMアダプター部分はカスタマイズした設計が可能となっています。また、 SEMステージとの干渉を避けるため、 試料を予め20゜傾斜した状態で取り付け、SEMステージを50゚程度傾斜して使用します。通常のEBSD測定とまったく同じように行うことが可能です。
2. 基本仕様
試料サイズ | 長さ 36 mm (引張ステージのタイプと治具により試料サイズ変更可能) 平行部 2mm x 10 mm 程度 試料厚さ 0.5 ~ 1.0mm程度 |
試料傾斜角 | 60゚~70゚(プリティルト 0゚または 20゚、SEMステージ傾斜 50゚ ) |
最大引張荷重 | 1500N |

最大荷重1500N タイプ
3. 基本構成
EBSD用試料引張ステージには、次に示すように実験に必要なものはすべて構成されています。 (取り付けるSEMをご指定ください)
- EBSD用試料引張ステージ本体1台
- 試料引張ステージコントローラー1台
- SEMフィードスルーフランジ1個
- 制御PC / モニター 1セット
- ケーブル類1式
- 引張制御ソフトウェア1式
- 試料取り付け部品1式
4. 応用例
下図にはSUS304 焼鈍材を、引張ステージにて引張試験を行った時の変化を示しています。EBSD測定は各伸びのところで試料を荷重のかかったまま保持して実施しています。6%程度の変形ではIPF結晶方位マップではほとんど変化が見られませんが、KAM 結晶方位差マップでは大きな変化となって現れることがわかります。また、15% 変形のものでは、下図の相マップ上に緑で示したα相が認められるようになり、加工誘起変態が生じたことがわかります。

EBSD 用試料曲げステージ
BS-300 は、試料に曲げ変形を与えながら試料のミクロ組織の変化をEBSD で連続的に観察できるようにした3点曲げ型の試料曲げステージです。本ステージでは試料に曲げ変形を与えた際の試料断面をEBSDで観察することが可能です。本ステージ本体は非常コンパクトで、ほとんどのSEMに装着することが可能です。
1.特徴
BS-300 は非常にコンパクトかつ軽量な設計となっており、ほとんどのSEMで標準の試料ホルダーを取り付ける場合と同様にして取り付けることが可能となっております。またEBSD/OIM 観察時は、SEM 試料ステージにてそのまま70゜傾斜することが可能です。これにより試料移動時のフォーカスズレも最小限に抑えることが可能です。曲げ変形時の動作は、3点曲げの中心支点が固定となっており、変形時の視野ズレも最小限に抑えることが可能です。
2.仕様
試料サイズ | 5 × 29 × 1.0~1.5 mmt |
最大荷重 | ~ 300N |
最大曲げ速度 | ~ 5.0 mm/sec |
試料傾斜角 | 70゚ (SEMステージによる) |
*仕様等は予告なく変更される場合があります。

3.構成
EBSD/OIM 用試料曲げステージには、次に示すようにEBSD/OIMを用いたIn-Situ 観察に必要なすべての部品が構成されています。 ( SEM モデルによりステージアダプター部が異なります。)
- 試料曲げステージ本体 1台
- 試料曲げステージコントローラー 1台
- フィードスルーフランジ 1個
- 制御用パソコンおよびモニター 1セット
- 制御系ケーブル 1式
- 補用品 1式
4.応用例
試料厚さ1mmのAl合金(5052) 焼鈍材を曲げ試験した際の組織変化を観察した例を下記に示します。 この測定時の”変位-荷重”曲線を図1に示します。この”変位-荷重”曲線上のスパイクは、その点で荷重を保持し、EBSD観察を行った部分を示しています。図2に示したデータは、「変位-荷重」 曲線上に青矢印で示したところで取得した。 曲げ量8mm で約90゜曲げとなっており、この時の観察領域での伸び量は水平方向に12.5% となっていました(Grain Reference Orientation Deviationマップ)。結晶粒の形状自体はほとんど変化していませんが、曲げ角の増加に伴い各結晶粒内の結晶方位分散が増加していることが明確に示されています。 図3のグラフは30゜以下の粒界の変化を示しましたが、曲げ変形の増加とともに5゜以下の小傾角粒界のみが増加していることが判ります。また、図4に試料横方向(試料引張方向) の逆極点図を示しましたが、初期方位は(001)となっていますが、曲げ変形の進行とともに(111)の方向に向かって方位分散が広がっていることが判ります。マップの上下方向が短くなっているのは、曲げ変形による観察面の傾斜角の変化を補正しているためです。
